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林田力『東急不動産だまし売り裁判』『二子玉川ライズ反対運動』

テンペスト下巻

『テンペスト』は19世紀の琉球王国を描いた歴史小説である。日本では江戸時代の幕末に相当する。日本と同様、琉球王国にも列強の船が出没するようになってきた。

下巻はペリー来航から琉球処分に至る琉球王国の最後を描く。流刑に処せられたネイオンは側室・真鶴として王宮に戻る。ペリー来航の国難に対処するためにネイオンも赦免され、ネイオンと真鶴の二重生活を送ることになる。側室の立場では政治に全く口出しできないところがポイントである。真鶴にとっては才能を発揮できず、それ故に性を偽ってネイオンにならなければならなかった。これは女性抑圧的な制度であるが、一方で王朝の知恵でもある。昔から王朝の乱れは王妃や側室の一族の専横にあった。現代でも配偶者の口出しが相続紛争泥沼化の原因と指摘される。それ故に側室に政治的発言権を持たせないことは王朝の安泰にとって意味がある。

王朝の安泰という点で琉球王国の大きな特徴は聞得大君の存在である。一般に王の姉妹が就任する聞得大君は王国の宗教的権威である。政治的権威と宗教的権威の二元化と位置付けられるが、王宮内では王妃や寵愛を受けた側室を牽制する存在になる。『テンペスト』の大君はふてぶてしい存在で王妃に同情したくなる読者も少なくないだろう。しかし、王妃や側室の口出しが王朝の乱れとなった歴史を踏まえれば大君の存在は有意義である。

本書で興味深い点は柵封体制を東アジアの国際連合のように捉えていることである。朝貢国は中国に一方的に従属するのではなく、国際社会のメンバーとして外交を展開する。日本では聖徳太子の日いずる国の天子以来、柵封体制に入らなかったことを誇りとする傾向があるが、東アジアの国際社会から見れば偏狭な鎖国精神でしかない。NHK大河ドラマ平清盛』でも中国との貿易によって国を富ませようとする清盛の革新性と体面にこだわって朝貢関係を否定する公卿の保守性を対比させている。

『テンペスト』はNHKで仲間由紀恵主演でドラマにもなった。ドラマでは序盤から男性として生きなければならないという女性性の抑圧がクローズアップされていた。同時期に『美男ですね』など男装ドラマが放送されていたこともある。これに対して書籍の序盤では女性が社会的に抑圧されている状況であり、男性となることは解放という色彩が濃い。林田力wiki

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