林田力 東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った 書評 Facebook Amazon

林田力 東急不動産消費者契約法違反訴訟

林田力『東急不動産だまし売り裁判』『二子玉川ライズ反対運動』

東京都知事選挙は開発問題を争点に

東京都知事選は開発問題を争点にすべきである。石原慎太郎知事の突然の辞任表明で降ってわいた東京都知事選であるが、市民派にとって大きなチャンスである。問題が明らかにも関わらず、一般の支持を得ていた石原氏が相手でなくなるためである。石原氏という良くも悪くもユニークな人物が都知事選挙に出ないことで石原都政に対する本質的な議論が可能である。

石原都政の本質は新自由主義である。小泉構造改革の先取りであった。新自由主義は思想的には国家権力(を握った人物)の限界という問題意識がある。それ故に「民間でできることは民間に」となる。これは理念としては評価できる面があるものの、その実態は権力を都合よく使った金儲けである。東急リバブルが転売で濡れ手で粟の利益を得た「かんぽの宿」問題が典型である。権力志向の強い石原氏では新自由主義自由主義的側面は乏しく、権力性が露骨である。

東京都では外郭環状道路や築地市場移転などの多数の開発問題を抱えている。住環境破壊の再開発・二子玉川ライズも住民の圧倒的な反対意見を無視して東京都が認可したものである。下北沢では保坂世田谷区長が住民とのシンポジウムなどを重ねて作成した跡地利用計画案の公表に抗議することまでしている。

石原批判と言えば石原氏のウルトラ保守主義批判に集中する傾向があったが、それは逆効果があった。一般都民は逆に批判者のイデオロギー的な異常性を感じてしまうことが多い。

石原氏のウルトラ保守主義は弱者の痛みを理解しない偏狭さを反映したものである。しかし、イデオロギー的な石原批判者も一般人の目に寛容とは映らない。君が代日の丸の強制を批判する元教師が教育委員会と戦う元校長を教育委員会に対する批判と同じトーンで批判するなど尋常ではない。そのような立場からの石原批判は一般人に石原批判者の異常性を認識させ、石原応援団として機能してしまう。

脱原発は重要な政治テーマであるが、それをメインとすべきではない。前回の選挙で小池候補の票が伸びなかったように脱原発だけでは勝てない。

石原氏は自他共に認めるバリバリの原発推進論者であるが、東京都政は電気料金値上げの前に東電病院の売却を求めるなど重要な動きを見せている。脱原発を進める上で電力会社の地域独占という特権的地位の打破は必要である。脱原発か否かで色分けすることはナイーブである。

また、脱原発を前面に出すと放射脳カルトが寄ってくるというマイナスの問題がある。真っ当な政治勢力ならば左右を問わず、放射脳カルトを切り捨てなければ成り立たない。

石原氏が後継として指名した猪瀬副知事は道路公団の民営化で名を馳せた人物である。無駄な道路建設による税金の無駄遣いを批判する立場からの広範な支持が見込まれる。これは石原氏を相手とする場合とは異なる新たな脅威である。

しかし、実態は道路公団が民営化しても不要な道路建設は続いている。ネクスコ東日本の道路建設への住民反対運動も起きている。むしろ、民営化したために近視眼的な皮算用で道路建設が正当化され、将来的な人工減少を見据えた議論が一層通じにくくなった。これは開発問題を主要争点とすることで問題を浮き彫りにできる。

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