林田力 東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った 書評 Facebook Amazon

林田力 東急不動産消費者契約法違反訴訟

林田力『東急不動産だまし売り裁判』『二子玉川ライズ反対運動』

のぼうの城v 林田力wiki 書評

のぼうの城』は豊臣秀吉の小田原攻めの激戦・忍城攻めを守り手の立場から描いた歴史小説である。漫画化や映画化もされた。

忍城は小田原北条氏の支配下の城である。石田三成を大将とする大軍が攻め寄せたが、小田原城の降伏まで持ちこたえた唯一の城である。その忍城の城代を主人公とする。タイトルの「のぼう」は「でくのぼう」の略で、城代のニックネームである。無能そうに描かれながら、人を惹き付ける魅力がある。物語では忍城は戦わずに開城する方針であったが、豊臣側の横柄な態度に城代が徹底抗戦を決意する。「長いものには巻かれろ」の日本社会で爽やかである。東急リバブル東急不動産のマンションだまし売りと戦った立場として主人公には大いに共感する(林田力『東急不動産だまし売り裁判こうして勝った』)。

本書では敵方の大将・石田三成を単なる悪役とは描いていない。戦下手で他人を陥れることが大好きな卑怯な人間という江戸時代に流布した悪役像とは異なる三成を描いている。それでも、三成を一層嫌いになってしまう。自分の理想を実現することしか考えず、他者を尊重しない。自分の哲学のために、わざと相手を怒らせ、戦争に持ち込む。本人は私心や悪意での行動ではないと思っているために始末に終えない。現場で苦労を重ねてきた加藤清正福島正則に憎まれることは納得である。

忍城を陥落できなかったという事実は三成の戦下手を示すものとして解釈されることになる。それに対して本書は三成が無能だったわけではなく、それを上回る忍城側の強さを描いている。しかし、しなくてもいい戦争に持ち込んだ三成にとって忍城攻めが三成の戦下手を示すエピソードとして解釈されることは因果応報になっている。物語では水攻めは内側からの離反で失敗する。これも味方の裏切りで崩壊した関ヶ原を暗示していて興味深い。

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