林田力 東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った 書評 Facebook Amazon

林田力 東急不動産消費者契約法違反訴訟

林田力『東急不動産だまし売り裁判』『二子玉川ライズ反対運動』

東京都知事選挙と勝手連

政策勝手連(テーマ別勝手連)の盛り上がりに期待する。東京都知事選での猪瀬直樹前副知事の圧勝は過去に美濃部都政を生み出した革新勢力の大同団結が通用しないことを明らかにした。都知事選挙では久々の革新統一候補であっただけに落胆も大きい。価値観の多様化によって大きなイデオロギーに基づいた選挙戦は難しくなっている。

保守的な顔も改革派としての顔を持つ猪瀬氏が圧勝した。左翼教条主義者ならば猪瀬氏の改革派的側面は偽りである、改悪であると批判するだろうが、そのような硬直的な思考自体が支持されなくなっている。批判者からは中途半端に見える猪瀬氏の多面性が幅広い支持を得た要因である。

衆議院議員選挙でも脱原発・反TPP・反増税と大きな対立軸を掲げた未来の党は伸び悩んだ。第三極の伸び悩みも報道されているような野合批判よりも、第三極などという大層な価値を掲げたこと自体が根本原因である。かつての大阪維新の会の身の丈にあった問題提起が失われてしまった。

この中で東京都知事選で宇都宮けんじ陣営が勝手連中心の選挙戦を構築したことは有意義であった。特に青少年健全育成条例に反対する人々の自発的な動きは効果的であった。宇都宮氏は表現規制反対の実績のある人物であるが、選対本部による中央集権的な選挙運動では効果的にアピールできたか疑わしい。コアな支持層にはフェミニズム的な立場から性の商品化を批判する声も強いためである。フェミニズムが石原都政批判の重要なアクターであることも言うまでもない。勝手連中心とすることでフェミニズム表現規制反対も各々の立場で各々の周囲に宇都宮けんじを浸透させることができた。

しかし、表現規制反対以外では政策勝手連が弱かったことが課題である。地域別の勝手連は活発に活動したが、脱原発勝手連地域版または脱原発・反TPP・反増税という大きなイデオロギーを背負った運動であり、イデオロギーの信奉者の外への広がりにかけた。

今回の選挙結果から後付けで分析するならば民主党みんなの党の支持層にもっと食い込む必要があった。管直人前首相が支持を表明するなど、その素地はあった。また、宇都宮氏は脱原発の具体的な内容として新エネルギー会社設立を公約に掲げた。これは電力会社の地域独占を打ち破るもので、みんなの党の電力自由化による脱原発と重なる。

しかし、その後の選挙戦のアピールでは新エネルギー会社設立は深められず、むしろ被災地瓦礫の焼却凍結やホットスポットの調査などを強調する傾向になった。これは脱原発そのもの別の問題(脱被曝、放射脳忌避派、放射脳カルト)である。これに傾斜することは、みんなの党的な脱原発を離反させる。

民主党支持層やみんなの党支持層へのリップサービスに欠けていたことが敗因であるが、一方で宇都宮支持者の多くは脱原発などで闘いたいと思っていたのであり、国政選挙の対立軸とリンクさせていた。それ故に民主党支持層やみんなの党支持層へのリップサービスは戦略としては有効でも採りたいとも思わない人が多数派だろう。それならば国政選挙と同様の結果に甘んじなければならなくなる。林田力

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