林田力 東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った 書評 Facebook Amazon

林田力 東急不動産消費者契約法違反訴訟

林田力『東急不動産だまし売り裁判』『二子玉川ライズ反対運動』

『雪』はトルコの小説である。イスラム主義が強まる辺境のカルスでクーデターが起きる。イスラム原理主義が支持される土壌を説明した小説として話題になった。本書を読むと世俗派の権力が抑圧的で、イスラム主義に希望を求めたくなる気持ちが理解できる。

一方で現代社会で問題になっているアラブのイスラム原理主義との状況の相違も認められる。トルコの本格的な近代化は第一次世界大戦後である。そこでの近代は西欧的価値観である。この西欧的価値に対しては憧れと反発という相反する感情が同居している。この同居はイスラム原理主義的な人にも見られる。だからこそ本書ではスカーフを取ることを拒否する宗教的な少女が自殺という宗教的タブーに反する選択をする。

これに対してアラブの本格的な近代化は第二次世界大戦後である。そのために冷戦の影響を受けており、近代の担い手も社会主義と親和性のあるアラブ民族主義になった。ソ連全体主義であったようにアラブ社会主義全体主義的な独裁体制であった。今のイラクやシリアの混迷もソ連の崩壊と似た面がある。故に近代というもの自体が全否定の対象となったとしても不思議ではない。アラブの混迷の根の深さを感じてしまった。