林田力 東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った 書評 Facebook Amazon

林田力 東急不動産消費者契約法違反訴訟

林田力『東急不動産だまし売り裁判』『二子玉川ライズ反対運動』

レプリカたちの夜

『レプリカたちの夜』は混沌と理不尽の世界を描く小説である。私はカフカの作品を連想した。主人公は動物のレプリカを製造する工場に勤めている。前半は意味不明な工場の指示に振り回される。何のためか説明されない。後半になると世界そのものが崩壊する。

ファンタジー作品として読むならば良いとして、前半の意味不明な仕事内容が現実の労働経験から来ているとしたら、深刻である。大きな組織の歯車であったとしても、自分の仕事が組織にどのように寄与しているか私は理解して働いているつもりである。それがなくなれば労働は苦痛になる。これが日本の労働の多くの現実ならば、うつ病や過労死が多いことも納得である。トップがビジョンやミッションを共有せずに生産性が上がるとは思えないが、だから昭和的な体質の日本組織は低迷するのだろう。

電話が信用できなくなっている。「電話なんてなんの意味があるのだろう。ただの音声。ただの合成シミュレーション」(231頁)。電話よりもメールを優れたコミュニケーション手段と考えている人々は自分の要求を一方的に押し付けたいだけではないか。